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2026年10月16日 更新
RankingkeiKai 特集・独自解説

なぜ金正恩は黒電話と呼ばれるのか?髪型の謎と+850不審電話の真相

目次
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    日本のインターネット空間で長年、半ば公然と定着している奇妙なあだ名がある。北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)総書記を指す「黒電話」という呼称だ。一見すると単なるナンセンスな悪口のように思えるが、この呼び名が定着した背景には、視覚的なシルエットの一致だけでなく、北朝鮮という閉ざされた独裁国家が仕掛けた周到な身体プロパガンダが深く関わっている。

    さらに現在、この「北朝鮮と電話」というキーワードは、ネット上のミーム(笑いのネタ)にとどまらない現実のサイバー脅威へと変貌を遂げている。2025年から2026年にかけて、日本国内のスマートフォンや固定電話に北朝鮮の国番号「+850」から不審な国際電話が着信し、多額の詐欺被害を狙う事案が警察庁や総務省の警戒ラインを突破して急増しているのだ。独裁者のヘアスタイルに端を発するネットスラングの真実と、実社会を揺るがす「リアルな着信トラブル」の正体を、一次情報と多角的な取材データから徹底解剖する。

    📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
    • 要点1:「黒電話」のあだ名は、サイドを直角に刈り上げ頭頂部を台形状に広げた独特の髪型が、昭和の「黒電話の受話器」を頭に乗せたシルエットに酷似していることから日本のネット掲示板で命名された。
    • 要点2:北朝鮮国内で「覇気ヘア」と呼ばれるこのスタイルは、建国の父である祖父・金日成の姿を徹底的に再現し、若年での権力継承を正当化するために設計された政治的擬態である。
    • 要点3:近年は「+850(北朝鮮)」を表示させた国際詐欺電話が深夜を含め多発しており、ネット上のあだ名論争を超えて、国民生活を脅かす発信元偽装サイバー犯罪への警戒が急務となっている。

    【呼び名の元ネタ】なぜ金正恩氏はネット上で「黒電話」と呼ばれるのか?

    北 朝鮮 黒 電話の関連写真・ビジュアル
    【画像】北 朝鮮 黒 電話 関連ショット

    金正恩氏が日本のソーシャルメディアや匿名掲示板(5ちゃんねる等)で「黒電話」と呼ばれるようになった時期は、彼が後継者として公式メディアに初登場した2010年秋から、父・金正日総書記の急死によって最高指導者の座に就いた2011年末頃にさかのぼる。

    当時、世界中のメディアが「20代後半の若き指導者」の姿を一斉に報じた際、日本のネットユーザーが最も強い違和感を抱いたのがその独特すぎるヘアスタイルだった。側頭部から後頭部にかけてを地肌が見えるほど青々と刈り上げ、頭頂部とサイドの境界に段差をつけずに真っ黒なボリュームを持たせたフォルム。これを正面、あるいは斜め上から見たときの輪郭が、「昭和の日本家庭に普及していたダイヤル式黒電話の受話器」の中央のくびれと両端の広がりにあまりにも酷似していたのである。

    当時のネットコミュニティでは「受話器を頭に乗せているようにしか見えない」「受話器オフフック状態」といった書き込みが相次ぎ、瞬く間に「黒電話=金正恩」という隠語が定着した。実名をそのまま書き込むことを忌避するネット特有のジャーゴン文化も手伝い、X(旧Twitter)やまとめサイトを通じて爆発的に浸透。現在では、北朝鮮情勢を語る際の定番符丁として定着するに至っている。

    「覇気ヘア」に隠された政治的思惑|金日成の真似と権力掌握の計算

    北 朝鮮 黒 電話の様子・注目ショット
    【写真】北 朝鮮 黒 電話 近影・注目カット

    嘲笑の対象となったあの髪型だが、平壌の指導部にとっては極めて真面目で切実な政治的狙いがあった。北朝鮮の国営メディアや内部文書において、この髪型は単なる流行ではなく「覇気ヘア(ペギ・モリ)」、あるいは「覇気ある髪型」と呼称されている。

    最大の目的は、祖父である金日成(キム・イルソン)主席の徹底的な模倣だ。2011年当時、20代そこそこで軍や古参幹部を統率しなければならなかった正恩氏には、指導者としての実績もカリスマ性も皆無だった。そこで採られたのが、北朝鮮国民の間で今なお「慈愛に満ちた建国の父」として神格化されている金日成の若き日の姿を丸ごとコピーする戦略だった。

    北朝鮮の元高官や脱北知識人の証言によると、正恩氏は髪型だけでなく、ふくよかな体型、歩き方、拍手の仕方、さらには演説時の声のトーンやかすれ具合に至るまで、平壌の指導部演出チームによる徹底的な訓練を受けたという。国民のノスタルジーと忠誠心を刺激し、「若造」という最大の弱点を「偉大なる首領様の再来」という神話にすり替えるための、冷徹なプロパガンダ装置こそが、あの「覇気ヘア」の正体だったのである。

    【徹底検証】年代別データで見る金正恩の髪型・体型・健康状態の変遷

    北 朝鮮 黒 電話の報道・詳細資料
    【資料】北 朝鮮 黒 電話 報道・メディア記録

    金正恩氏のビジュアルは、権力基盤の安定度や健康状態と完全に連動して変化してきた。就任初期から現在に至るまでの変遷を客観データで振り返ると、髪型の変化が単なる気まぐれではないことが浮き彫りになる。

    年代・フェーズ髪型と外見の特徴推定体重・健康指標政治的背景と分析
    2011〜2014年
    (権力継承初期)
    原型となる黒電話ヘア
    サイドを垂直に刈り上げ、頭頂部を台形に整髪。
    約90kg → 120kg
    急激な増量で貫禄を演出。痛風や足の不調が表面化。
    金日成への擬態を最優先。張成沢氏らの粛清を進め、軍部の掌握を急いだ時期。
    2015〜2019年
    (台形巨大化期)
    受話器フォルムの完成
    頭頂部の幅が側頭部を大きく超え、真四角に近い威圧的シルエットへ。
    約130kg → 140kg超
    高度肥満、重度のヘビースモーカーによる心血管疾患リスクが囁かれる。
    核武力完成を宣言し、米朝首脳会談へ。「唯一無二の指導者」としての誇示が髪型にも反映。
    2020〜2022年
    (激ヤセと影武者説)
    毛先のボリューム抑制
    刈り上げラインがやや自然になり、後退した額が目立つように。
    推定20kg以上の急激な減量
    腕時計のベルト穴が大きく締まり、後頭部の絆創膏が話題に。
    長期の動静途絶が相次ぎ「影武者説」「重体説」が過熱。韓国国家情報院はダイエットと分析。
    2023〜2026年
    (リバウンドと現在)
    白髪交じりの貫禄スタイル
    以前ほどの極端な角張りは後退し、自然なオールバックへ移行傾向。
    140kg台への再リバウンド
    肌の艶の衰え、呼吸の荒さが公式映像で頻繁に確認される。
    娘のジュエ氏を前面に出す後継布石を開始。自身の老化を隠さず「円熟の元帥」を演出。

    情報機関の分析によると、急激な体重変化はストレスや不摂生だけでなく、専属医師団によるホルモン治療や減量指示とリバウンドの繰り返しが原因とされる。一時期ネット上を賑わせた「影武者説」については、耳の形状や歯並びの生体認証分析から、現在公の場に出ている人物も同一人物である可能性が極めて高いと結論づけられている。

    【実態検証】「+850」北朝鮮からの不審電話が急増|巧妙な詐欺手口の全貌

    インターネット上の「黒電話」という笑い話の裏側で、いま日本社会に深刻な実害をもたらしているのが、北朝鮮の国際電話国番号「+850」からの一斉不審着信である。

    報道各社やサイバーセキュリティ機関の発表によると、2025年2月頃から「真夜中に突然+850から始まる番号から電話がかかってきた」という報告がSNS上で爆発的に増加した。着信履歴には「+850 1912XXXXXX」といった見慣れない番号が並び、受話器を取ると以下のような詐欺手口が展開される。

    • NTTファイナンスを騙る自動音声ガイダンス:「クラウドサービスの未納料金がある。法的措置に移行する」と脅し、オペレーターに接続させて電子マネーでの支払いを要求する。
    • ワン切りによる高額通話料詐欺(国際ワン切り):一瞬だけ着信を残して切断し、不審に思った利用者に折り返し発信をさせ、高額な国際接続料や情報料を発生させて事業者がキックバックを得る手口。

    「なぜ北朝鮮から直接電話がかかってくるのか?」と恐怖を覚える読者も多いだろう。しかし、警視庁や通信事業者の調査によれば、実際に北朝鮮国内の交換台から直接発信されているわけではない。海外の通信網を経由する際、発信者番号通知を任意に書き換える「スプーフィング(番号偽装技術)」を国際詐欺グループが悪用し、規制の手が及びにくい「+850」を隠れ蓑に設定して一斉発信しているのが実態だ。

    もしあなたの端末に「+850」からの着信があった場合、「絶対に出てはならない」「絶対に折り返してはならない」の2点が鉄則となる。知的好奇心から折り返してしまうと、秒単位で法外な国際通話料金が通信キャリアから請求されるだけでなく、「アクティブな電話番号」として名簿が闇ルートで転売される二次被害に直結する。

    ネットの反応と国内外の受容|嘲笑と恐怖が表裏一体のアイコン

    金正恩氏のビジュアルは、国内外で極めて対照的な受容のされ方をしてきた。この二面性こそが、独裁国家の情報統制が持つ奇妙な歪みを象徴している。

    日本のネット上では、「黒電話」というキャッチーなスラングを通じて、核開発やミサイル発射を繰り返す凶悪な独裁者が一種の「お笑いコンテンツ」として消費されてきた側面が否めない。5ちゃんねるの実況スレッドやX上では、軍事パレードの映像が流れるたびに「受話器の角度が鋭角になった」「黒電話のダイヤルが回らない」といった大喜利が展開される。これは恐怖の対象を笑いに変換することで心理的な防衛を図る、典型的な集団心理のメカニズムといえる。

    一方で、国際社会の目線はより冷徹だ。欧米メディアでは、かつてドナルド・トランプ元米大統領が正恩氏を「リトル・ロケットマン」と呼んで罵倒したように、その特異な外見は「予測不可能で危険な核保有国の首領」を強調するプロパガンダ材料として扱われた。嘲笑されようとも、一歩国内に目を向ければ、その同じ髪型をした男の指先一つで何万人もの強制収容所送りや処刑が決まる現実がある。ポップな「黒電話」という記号の裏には、冷厳たる人権抑圧の現実が常に張り付いている。

    【プロの結論】権威主義の身体プロパガンダと情報防衛から見出すべき教訓

    金正恩氏の「黒電話ヘア」と、現代を揺るがす「+850国際電話詐欺」。この2つの事象を単なるゴシップや突発的トラブルで終わらせてはならない。ここから私たちは、権威主義体制が仕掛ける情報操作と、ボーダーレス化するデジタル犯罪に対する本質的な防衛策を学ぶ必要がある。

    政治社会学の観点から見れば、独裁者が自らの肉体を意図的にデザインし、祖父の亡霊を憑依させる「身体プロパガンダ」は、国民の自由な思考を奪い、家父長制的な絶対服従を強いるための極めて強力な心理トラップである。外側の人間がどれほど「黒電話」と笑おうと、平壌の壁の内部では、そのアイコンが恐怖政治の絶対的な神聖不可侵の印として機能し続けている。表層のコミカルさに目を奪われ、その背後にある軍事独裁の冷徹な意図を見誤ってはならない。

    同時に、実生活におけるサイバー防衛の観点では、以下の基準を徹底することを強く推奨する。

    • 向いている防犯行動(推奨):スマートフォンのOS設定で「不明な発信者を消音」を有効化する。キャリア各社が提供する「国際電話着信拒否サービス(無料)」を事前申し込みしておく。
    • 絶対に避けるべき行動(危険):「誰からの電話だろう」と確認のために+850へリダイアルする行為。自動音声に従って番号キーをプッシュする行為。

    【北 朝鮮 黒 電話】に関するよくある質問(FAQ)

    Q1:金正恩氏の髪型(覇気ヘア)は北朝鮮の一般男性も真似しなければいけないのですか?
    A1:義務化されているわけではありません。むしろ最高指導者とまったく同じ髪型にすることは「首領への不敬」と見なされる恐れがあるため避けられる傾向にあります。ただし、北朝鮮には政府が認可した「推奨ヘアスタイル一覧」が存在し、長髪や奇抜な染髪は厳しく取り締まられます。男子学生や若年層の間では、忠誠心をアピールするためにサイドを刈り上げるスタイルが推奨・流行した時期があります。

    Q2:「黒電話」というあだ名は、北朝鮮当局や金正恩氏本人にも知られているのでしょうか?
    A2:公式な言及はもちろん皆無ですが、北朝鮮の対外情報機関(偵察総局など)やサイバー部隊は日本のネット世論を常時モニタリングしているため、この蔑称の存在は間違いなく把握されています。北朝鮮は指導者の尊厳を傷つける表現に対して極めて神経質であり、仮に国内でこのような言葉を口にすれば、即座に政治犯収容所へ送られる最高レベルの反国家罪となります。

    Q3:夜間に「+850」からワン切り着信がありました。番号を調べたり警察へ通報すべきですか?
    A3:着信があっただけで通話や金銭の支払いをしていない状態であれば、実害はないため警察へ個別に被害届を出す必要はありません。もっとも重要なのは「一切触らず放置し、着信拒否に入れること」です。不安な場合は、各通信キャリアの迷惑電話相談窓口や警察相談専用電話(#9110)へ情報提供を行うのが安全です。

    まとめ:イメージ戦略の虚像を見抜き、現実の脅威に備える

    金正恩氏が「黒電話」と呼ばれる理由は、単なるネット民の思いつきにとどまらず、祖父・金日成を模倣して権力を正当化しようとした北朝鮮の「覇気ヘア」という身体演出が、図らずも日本の大衆文化の記憶と衝突して生まれた皮肉な結末だった。そして現在、その呼称の影で蠢く「+850」発信の偽装詐欺電話は、国境を越えて一般市民の懐を直接狙うリアルな脅威となっている。

    モニターの向こうの独裁者を笑うだけで終わらせず、そのプロパガンダの本質を見抜く知性と、巧妙化するサイバー詐欺に即座に対処できる防犯リテラシーを持つこと。それこそが、情報過多の時代を生きる私たちに求められる最も確かな防壁である。 (出典: 北 朝鮮 黒 電話(Yahoo!ニュース))

    加藤 雅人 (Masato Kato)
    加藤 雅人 (Masato Kato) エンタメコラムニスト

    テクノロジーやライフスタイル領域を中心に執筆活動を行っています。趣味は写真撮影と旅行です。